「自由、家庭、信仰-21世紀のメディアの役割」
「自由、家庭、信仰-21世紀のメディアの役割」
文鮮明師 講演文
"In the beginning was the Word, and the Word was with God, and the word was God." John1:1
「自由、家庭、信仰-21世紀のメディアの役割」
(02.05.21 ワシントン・タイムズ創刊20周年記念祝賀会で配布されたスピーチテキストより ヒルトン・ワシントン・ホテル)
冷戦時、神は、世界を共産主義が支配するのを防ぎ、自由な世界を守るため米国を選びました。ワシントン・スター紙が一九八一年に廃刊され、首都の新聞はワシントン・ポスト一紙だけとなりました。これは、自由世界の首都が、ニュース、懸案事項、政策に対して限られた視点しかもつことができないことを意味し、共産主義の危険性、当時全世界が直面していた共産主義の脅威を軽視するものでした。神の願いは、哲学的、思想的基盤を持ち、人々や米国の指導者らを励まし、啓蒙する新聞を作ることでした。愛国的な米国人がワシントンで新聞を創刊し、ポスト紙に代わり得る意見を打ち出すことを願って、数カ月間、待ちました。ですが、誰も手をつけようとしないのを見て、私がそれをしようと決意したのです。
ですが、ワシントン・タイムズの使命は、冷戦の終結では終わりませんでした。共産主義が崩壊しても、自動的に世界に平和が訪れるわけではありません。神が願われる理想社会も、私たちの努力なくしては実現できません。そのため、創刊十年(一九九二年)を迎えたワシントン・タイムズは、新しい挑戦、つまり「文化戦争」、悪化する価値観との戦い、という使命が与えられました。
神は米国が伝統的な家族の価値や道徳的価値を守るよう願いましたが、それらは混乱状態に落ちてしまいました。世俗的な人道主義、極端な個人主義、自己中心主義が強まっています。その結果、金銭と物質が人々にとって神のような価値を持つようになったのです。そうして、宗教は低調となり、世俗的な人道主義がはびこるようになりました。家庭が崩壊し、青少年犯罪が増加しています。
創刊十周年の祝いの場で私は、メディアのもう一つの使命を定義しました。これは、メディアは社会の倫理と道徳の価値を高めるもの、ということです。その後の十年間、道徳的な社会の実現に貢献することをタイムズに願ってきました。平和な世界は平和で理想的な家庭の基盤があって初めて実現できます。そのため、道徳的家庭の価値を強めることの重要性を人々が理解するよう努力してきました。「家庭の価値」という言葉がよく知られるようになる前でさえ、タイムズは価値観の崩壊、いかにして家庭の価値に基づいた善良で道徳的な社会を取り戻すかを強調する記事を出してきました。これらの問題に関するファミリー・タイムズを毎週、出すことも始めました。今日、家庭の価値は米国社会にとって重要な部分を占め、政治的な問題ともなっています。私たちは、タイムズが家庭の価値を米国と世界の重要な部分へと高めることに貢献してきたことを誇りに思っています。
タイムズ創刊後の最初の十年間に際立ったのは、冷戦の最中にあった世界の自由のための戦いです。次の十年間は、文化戦争と強い道徳的価値観に基づく家庭を築くことの重要性が目立った年でした。今二十年を超え、信仰を訴え、支持する時代、個人の信仰に基づき精神的価値観を強調し、支持する時代を迎えました。だれでも、神と人生の精神的側面についてはっきりと理解していなければなりません。世界レベルで自由、家庭レベルで倫理的価値観、個人レベルで信仰、これらは人生、メディア双方にとっての三大使命です。
自由、家庭の価値、信仰は米国の最も基本的な精神的価値です。タイムズが「米国の新聞」と呼ばれるのは、米国の伝統的思想を実行することを目指しているからです。もちろん、「米国の新聞」と言いましても、米国だけに仕える新聞という意味ではありません。そうではなく、世界と全人類のために働く国である米国に仕えることを意味します。
私たちは外的には、情報が爆発的に増加する時代の中に生きています。世界は情報であふれています。デジタル通信技術の発展により情報の海が出現しました。これまで、離れたところから情報を得ることは困難でした。ですが、今では、革命的な変化が起き、世界中から圧倒されるほど大量の情報が発信されています。この大量の情報の中で、人々が質の高い人生を送れるよう、責任を果たしていかねばなりません。メディアはすべての事実を伝えることができますが、同時に混乱を回避し、リーダーシップと方向性を示す責任があります。全世界がニュースと情報であふれている今の時代はなおさらです。ワシントン・タイムズと関連するメディアはこの点で指導的な役割を果たしています。
この二十年間でタイムズが奇跡的な発展を遂げたのと時を同じくして、他のメディアプロジェクトも目を見張る発展を遂げてきました。ナショナル・ウィークリー・エディションは、全米五十州の購読者に配られ、日刊のタイムズ紙から傑出した記事を届けています。ティエンポス・デル・ムンドもあります。スペイン語の週刊紙で、十六カ国十八主要都市で発行されています。さらにソウル、ニューヨークにはセゲイルボ(世界日報)、東京には世界日報があります。ミドル・イースト・タイムズ紙は、ますます重要性を増している地域のニュース、情報を提供しています。
雑誌としては、インサイト、ワールド・アンド・アイ、ワシントン・ゴルフ・マンスリーがあります。ワシントン・タイムズのインターネットサイトは、米国で最も人気のある新聞のサイトの一つであり、毎週数十万人の人が訪れ、毎月、千八百万ページ以上のニュース、オピニオン、解説を読んでいます。ケーブルテレビなど通信業界ともうまく連携し、ポトマック・テレビジョン、アトランティック・ビデオ、グッドライフ・ケーブルTVは全米五十州に視聴者を持っています。
このメディアファミリーに加わった中で最も新しいのは、世界でも最も古い民間の通信社、UPIです。ほぼ百年間、休むことなく活動し、世界中にニュースを配信してきました。UPI通信はまもなく、大きな技術的躍進を遂げます。統合したデータベースを通じて、私たちの持つ全メディアから記事を集め、それらを整理し、内容、テーマに従って世界中の購読者に配信する技術を持つのです。
大量のニュース、情報を提供する新時代のメディアは、リーダーシップをとり、神と霊界を知り、その価値観に基づいて個人を善化する明確な方向を示さなければなりません。ワシントン・タイムズと私たちのメディアファミリーは、二十年間にわたってこの方向性を指し示してきました。今後も、三十周年に向かいこれを続けていきます。皆様方一人ひとりも、その資質を生かして、自由を守り、家庭の価値を促進し、神への信仰を強め、世界のリーダーとなっていくよう、願っております。